女性映画監督　映画業界で女性の活躍が困難だった時代の、失われたフィルムをめぐる旅　映画「オマージュ」予告

2023年3月10日より劇場公開される、2021年の東京国際映画祭コンペティション部門に正式出品された韓国映画「オマージュ」の、予告編が公開された。
　
　予告編は、キャリアも母としても中途半端で、息子からも「母さんの映画つまんない」と酷評されるジワンが、韓国初の女性判事が毒殺された実話を映画化した「女判事」の修復作業にかかわることになる場面から始まる。検閲でカットされたシーンがあることに気づき、失われたフィルムを探す旅に出たジワンは、かつて映画の編集に携わっていたという女性から「編集担当の私でさえ“縁起が悪い”と塩をまかれるような扱いだった」と、映画業界で女性が活躍することが今よりずっと困難だった時代の話を聞き出す。
　
　「オマージュ」は、ヒット作に恵まれず、新作を撮るめどの立たない映画監督のジワンを描いた作品。1960年代に活動した韓国の女性監督が残した映画「女判事」の、欠落した音声を吹き込む仕事を引き受けたジワン。フィルムの一部が失われていることに気づいたジワンは、ホン監督の家族や関係者のもとを訪ねながら真相を探っていく。母、妻としての日常生活もあり、キャリアの曲がり角にいるジワンは、女性が映画業界で活躍することが、今よりもずっと困難だった時代の真実を知る。そして、人生を見つめ直し、新しい一歩を踏み出していく
　
　主人公ジワンを演じるのは、「パラサイト　半地下の家族」などで知られるバイプレイヤーのイ・ジョンウン。年齢を重ねて感じる心と体のゆらぎを表現している。単独初主演にしてアジア太平洋映画賞最優秀演技賞を受賞した。夫を演じるのは、ホン・サンス監督作品の常連としても知られるクォン・ヘヒョ。息子役を「愛の不時着」のタン・ジュンサンが務める。監督は、「マドンナ」「ガラスの庭園」のシン・スウォン。悩みながらも映画を撮ることを諦めないジワンに自身を投影させ、女性たちが時を超えて連帯していく物語に昇華させた。